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下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.
表面科学, 25(9), p.555 - 561, 2004/09
六方晶窒化ホウ素(-BN)はグラファイト構造を持つ絶縁体であり、超薄膜絶縁体材料としての興味深いターゲットである。近年幾つかの遷移金属単結晶表面上にエピタキシャル-BNモノレイヤーが形成されることが報告された。そのうちNi(111)は-BNとの格子整合性が高いためエピタキシャル薄膜成長に対し有利であるがその薄膜-基板間相互作用については十分明らかになってはいない。そこでわれわれは吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)分光法を用いて-BN/Ni(111)の電子構造を調べ、薄膜-基板間相互作用を明らかにすることを試みた。ボラジン(BNH)を用いたCVD法によりNi(111)上に-BN薄膜を形成し、そのB K端でのNEXAFSスペクトルを測定した。得られたスペクトルはバルク-BNでは観測されない新しい*ピークを示した。このピークの解釈のためモデルクラスターを用いたDV-X分子起動計算を行い、新しいピークがおもにNi4p軌道と-BNの*軌道との混成により生じたものであることを明らかにした。この結果からわれわれは-BNモノレイヤーとNi(111)基板は化学吸着的な強い相互作用を持つと結論した。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 137-140, p.573 - 578, 2004/07
被引用回数:27 パーセンタイル:72.9(Spectroscopy)六方晶窒化ホウ素(h-BN)はグラファイト構造の2次元的な異方性を持つワイドバンドギャップ化合物であり、超薄膜絶縁体の材料として興味深い対象である。近年そのエピタキシャル薄膜がNi(111)上に形成されることが明らかになった。そこでわれわれは吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)分光法を用いてこのエピタキシャル薄膜の電子構造を調べた。h-BNエピタキシャル薄膜生成にはボラジン(BNH)を用いた。真空中で加熱したNi(111)基板にボラジンガスを吹き付けることによって約12層のh-BN薄膜を得た。薄膜とバルクの電子構造の違いを調べるため両者のNEXAFSスペクトルを測定した。バルクh-BNはホウ素K吸収端のNEXAFSスペクトルにおいて1s*遷移に帰属される特徴的な一本の*ピークを示す。一方h-BN薄膜のスペクトルはバルクのスペクトルに観測された*ピークの高エネルギー側に新しいピークを示した。NEXAFSスペクトルの偏光依存性解析によりこのピークは*ピークに帰属された。この結果はh-BNエピタキシャル薄膜の*バンドがバルクh-BNの*バンドと明らかに異なることを示しており、基板との相互作用によりh-BNの伝導帯における電子構造の変容が生じたことを示唆している。
伊藤 孝彦*; 中西 繁光*; 梅澤 憲司*; 山本 春也; 鳴海 一雅; 楢本 洋
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.182 - 184, 1999/10
あらかじめAg原子をNi(111)表面に蒸着した系に、さらにPb原子を吸着した場合の表面吸着Ag,Pb原子の再配列の様子を、低速イオン散乱法によって調べ以下の結論を得た。(1)Pbを蒸着すると、Ag原子は2次元配列から、3次元配列へと変化した。方位関係はAg[112]//Ni[112]。一方その間Pbの配列の特性は変化しなかった。(2)高温で熱処理(570)すると、Agの配列がAg[112]//Ni[112]からAg[112]//Ni[112]へと反転した。